資金口座を終わらせる最大の要因は、利益目標ではなくドローダウン(損失の床)です。やっかいなのは、2社が同じ「最大損失」をうたっていても、中身がまったく違うことがある点。この記事では、実際に出会う3方式——静的・トレーリング(日中)・EODトレーリング——を平易に整理します。お金を入れる前に、自分の口座のルールを正しく読めるようになるのが目的です。

ひとことで言うと、静的は床が動かない、トレーリングは床がピークに追従して上がる、EODトレーリングは床が終値のときだけ上がる。ラベル上の同じパーセントでも、実際のリスクは別物です。

ドローダウン限度とは

ドローダウン(最大損失)限度とは、口座が「これ以上下げたら失格・口座閉鎖」となる下限のことです。トレーダーが資金を吹き飛ばすことへの、会社側の保護線です。評価でも資金口座でも必ず設定されていて、口座を残せるかどうかを決めるのは、たいてい利益目標よりこのルールです。

会社ごとに変わるのは「基準点」です。床を開始残高から測るのか、それとも到達した最高値から測るのか——ここが分かれ目です。

静的ドローダウンの仕組み

静的(残高ベース・固定とも)は、床を一度決めたら動かしません。10万ドルの口座で10%の静的最大損失なら、床は9万ドルに固定。8千ドルの利益を出しても床は9万ドルのままで、むしろ余裕が増えます。たとえばFTMOの主力チャレンジは、開始残高を基準にした静的の最大損失を採用しています(FTMO — トレーディング目標)。

静的はもっとも分かりやすく、もっとも優しい方式です。利益を出すほど余白が広がるだけ。「静的」「残高ベース」と書いてあれば、基本的に朗報です。

トレーリングドローダウンの仕組み

トレーリングは、口座が高値を更新するたびに床を切り上げます。許される損失額は、開始残高ではなく「ピーク」から測られます。10万ドルの口座で4%トレーリングなら、床は最初9万6千ドル。ですが残高が10万5千ドルまで伸びると、床もそれに追従して上がります。含み益を戻しすぎると、その日プラスのままでも失格になり得ます。

実際の厳しさは、次の2点で決まります。

  • 日中(リアルタイム)トレーリング:床が含み益の最高ティックに追従します。確定していない瞬間の高値まで拾うので、もっとも厳しい版です。
  • ロック:多くのトレーリング方式は、一定の利益を確保するとトレーリングを止め、床を固定します(多くは開始残高で固定)。たとえばE8 Markets の1ステップは、日次の制限とトレーリング最大を組み合わせ、しきい値到達後にトレーリングを止めます(E8 Markets — E8 One)。

4%のトレーリングは、10%の静的より実質的に厳しいことがあります。基準点が動き続けるからです。ラベルのパーセントだけで会社を比べると判断を誤ります。

EOD(終値ベース)トレーリングとは

EODトレーリングは中間の方式で、先物プログラムによくあります。床は日中のピークではなく、その日の「終値の残高」でしか切り上がりません。昼に2千ドル伸ばして、戻して、フラットで引ければ、床は動きません——瞬間の高値は記録されないからです。TopstepやEarn2Tradeは、先物口座でEODトレーリングを採用しています(Topstep — 最大損失限度Earn2Trade — 最大ドローダウン)。

多くの手法にとって、EODトレーリングは日中トレーリングよりはっきり優しく、それでいて静的よりは厳しい、という位置づけです。会社がトレーリングを使うなら、欲しいのは「EOD」の版です。

ワークド例:同じ取引・3方式で結果はどう変わるか

具体に落とします。10万ドル口座・最大損失 5%・10営業日のシナリオ。Day 6 は終値 102,500ドルですが、寄付後の昼に含み益でいったん 107,500ドルまで伸びてから戻った設定です。

終値残高日中メモ
0$100,000
1$102,000
2$103,500
3$101,000安い日
4$104,000
5$106,000
6$102,500$107,500 ← 日中ピーク
7$104,000
8$101,000安い日
9$103,500
10$101,500

3方式で床(失格ライン)の動きを比べます:

静的 5%(床 = $95,000、不動)

  • 床は10日間 $95,000 から動かない
  • 最安値は Day 8 の $101,000 → 床まで $6,000 の余裕
  • 余裕で生存

EOD トレーリング 5%(床は終値の新高値で切り上がる)

  • Day 5 終値 $106,000 → 床は $101,000 へ
  • Day 6 終値 $102,500 → 終値は新高値でないため床は据え置き $101,000
  • Day 8 終値 $101,000 → 床にピッタリ、ギリギリ生存
  • 床は一度上がったら戻らない
  • 0ドル差で生存

日中トレーリング 5%(床は日中ピークで切り上がる)

  • Day 6 日中ピーク $107,500 → 床は瞬時に $102,500 へジャンプ
  • Day 6 終値 $102,500 → 床にピッタリ
  • Day 8 終値 $101,000 → 床から $1,500 下、失格

同じ取引履歴・同じ終値カーブで、静的は余裕、EODトレーリングはゼロ余裕、日中トレーリングは失格。 これがラベルの「最大損失 5%」だけで2社を比べると無意味になる理由です。Day 6 の「伸ばして戻す」一瞬を、日中トレーリングだけが床の上昇に変換する——これが実際の厳しさの差です。

プロップ選びでなぜ重要か

ラベルのパーセントではなく、ドローダウンの方式こそが、実際のリスクを左右するからです。

  • 「10%」の静的が、「6%」の日中トレーリングより緩いことがあります。
  • 同じ「トレーリング」をうたう先物2社でも、日中かEODか、どの利益水準でロックされるかで大きく違います。
  • 日次損失上限は、通期のドローダウンの上に別ルールとして重なります(毎日リセット)。詳しくは日次損失上限と最大ドローダウンの違いで解説しています。

評価を買う前に、会社の公式ルールページで3点を確認してください——ドローダウンの「方式」(静的/日中トレーリング/EODトレーリング)、何を基準に測るか、そしてどの利益水準でトレーリングが止まりロックされるか。当サイトでは、追跡している全社のドローダウン方式をプロップファーム比較表で横並びに確認できます。

本ページは情報提供であり、投資助言ではありません。条件は予告なく変わります。口座を持つ前に、必ず各社の公式サイトで最新の規約をご確認ください。