同じに見えて、別の理由で落ちる2つの規則

ほぼすべてのプロップファームは、2つの別々のリスク規則を課します。そしてトレーダーは、この2つをしょっちゅう混同します。デイリーロスは「1日」を、最大(全体)ドローダウンは「口座全体」を管理します。判定する期間が違い、リセットのタイミングも違い、そして決定的なことに、片方は完全に守れていてももう片方に抵触し得ます。

本稿では、各社の公式ルールページに基づいて仕組みを整理します。どう計算されるか、いつリセットされるか、残高ベースかエクイティベースか、ドローダウンは静的か追従式か。以下の数値例はすべて、フロントマターに挙げた一次情報に基づきます。ルールは変わるため、トレード前に必ず各社の最新ページで確認してください。本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。

デイリーロス — 何を守り、いつリセットされるか

デイリーロスは、1セッションのサーキットブレーカーです。その日の起点からどれだけエクイティを失えるかを上限とし、決まった時刻にリセットされ、以降は新しい上限が適用されます。

FTMO は評価試験に Maximum Daily Loss を設定し、毎日 00:00 CE(S)T に再計算します。FTMO Academy によれば、その日の上限は「深夜0時時点の残高」から「初期資金の一定割合」を引いた値です。2-Step Challenge ではこの割合が初期資金の5%。たとえば20万ドル口座で深夜の残高が20万4,000ドルなら、その日の下限は19万4,000ドル(20万4,000ドル − 初期資金の5%)になります。1-Step Challenge はより厳しい3%のデイリーロスで、全体の最大損失は同じです。FTMO は数値を改定することがあるため、Trading Objectives ページで最新値を確認してください。

リセット時刻は些末な注記ではありません。リセットをまたいでポジションを保有すると、昨日の余力で建てたトレードに、新しい日のより低い上限が適用され得ます。Topstep は別建ての日中デイリーロスを 5:00 PM CT にリセットし、ヘルプセンターによれば上限は50K口座で1,000ドル、100Kで2,000ドル、150Kで3,000ドル。確定損益と含み損益の双方が算入されます。

最大ドローダウン — 静的か追従式か

最大ドローダウン(全体損失・最大損失とも呼ばれます)は、口座が全期間を通じて割ってはならない下限です。決定的な分かれ目は、その下限が静的か追従式かです。

静的(絶対)ドローダウンは、動かない固定のライン。The5%ers の High Stakes プログラムは、残高ベースの絶対10%最大損失を採用します。5万ドル口座なら、いくら利益を積み上げても下限は4万5,000ドルで固定。下限が切り上がらないからこそ、利益確定が本当に余力になります。FTMO の 2-Step Maximum Loss も初期資金の10%で静的。10万ドル口座なら、エクイティはいかなる瞬間も9万ドルを割ってはなりません。

追従式ドローダウンは、口座が高値を更新すると切り上がり、やがてロックします。Topstep の Maximum Loss Limit は追従式で、50K口座で2,000ドル、100Kで3,000ドル、150Kで4,500ドル。日終わり残高に基づいて上方に追従し、下がることはなく、口座の開始残高に到達すると恒久的にロックします。このロックが重要です。Topstep のドローダウンが開始残高に達すると、下限の上昇は止まり、バッファが固定されます。

この2モデルの詳しい比較はトレーリング vs 静的ドローダウンで解説しています。

残高ベースかエクイティベースか — 含み損益で落ちる理由

最も多い「想定外」は、決済する前の未確定の含み損で上限に抵触することです。これは、業者が残高で判定するかエクイティで判定するかに行き着きます。

FTMO はエクイティベースでの判定を明示しています。エクイティ=残高+保有ポジションの損益(スワップ・手数料を調整)であり、この値が上限を割ってはならない、という建て付けです。FTMO Academy は10%最大損失について明快な数値例を示します。残高が9万2,000ドルなら、9万ドルの下限に対して安全に見えます。しかし保有トレードに2,001ドルの含み損があれば、エクイティは8万9,999ドル。確定残高は割っていなくても、下限に抵触します。同じエクイティのロジックがデイリーロスにも適用されます。

対照的に The5%ers は、High Stakes の最大損失を残高で判定し(絶対モデル)、デイリーロスは「その日の開始エクイティと開始残高の高い方」に対して、MT5 サーバー時刻(GMT+2/+3)で評価します。業者が残高とエクイティのどちらで測るかが分かれば、深い含み損から回復中のポジションが口座を終わらせ得るかどうかが即座に判断できます。

先物系業者のトレーリング — 日終わり型か日中型か

先物系の業者では、トレーリングドローダウンに2種類あり、両者を取り違えることが失敗の頻出原因です。

日中トレーリング型は、含み益を含めて、その日に到達した最高エクイティに追従します。Apex Trader Funding がまさにこれです。5万ドル口座・最大ドローダウン2,500ドルの場合、含み益で残高が5万2,500ドルまで伸びると、しきい値はリアルタイムで5万ドルに切り上がります。Apex によれば、ピーク残高が「開始残高+最大ドローダウン+100ドル」に達するとしきい値は移動を止めて固定され、しきい値に触れる・下回ると全ポジションが自動清算されます。確定させなかった含み益が、下限を恒久的に押し上げてしまうのが罠です。

日終わり(EOD)トレーリング型は、その日の引け時にのみ調整され、通常は確定益にのみ追従します。MyFundedFutures は2026年のプランで別建てのデイリーロスを課さず、代わりに3%の日終わりトレーリングドローダウン(Core/Pro)などの構造に依拠し、5:00 PM EST の引けでのみ上方調整します。重要な点として、EOD トレーリングでも日中はリアルタイムで監視されます——調整が引けで起こるだけです。最新のプラン仕様はMyFundedFuturesApexのルールページで確認し、これらが FX 評価試験とどう違うかは先物系プロップの解説を参照してください。

数値例:FTMO ルール下の FX 口座

10万ドルの FTMO 2-Step Challenge を例にします。静的な Maximum Loss の下限はエクイティで9万ドル、評価期間を通じて固定です。Maximum Daily Loss は初期資金の5%で、00:00 CE(S)T に深夜残高から再計算されます。

  • 残高10万ドルで日が始まる。その日のデイリー下限は9万5,000ドル。
  • 確定残高9万2,000ドルまでトレードし、2,001ドルの含み損を持つポジションを保有。エクイティは8万9,999ドル——全体の下限9万ドルを下回る。FTMO はエクイティで判定するため、デイリー上限とは無関係に最大損失で抵触する。
  • もし9万6,000ドルでフラットに決済し、深夜をまたいで建玉リスクを持ち越さなければ、翌日は新しい深夜残高から新たなデイリー下限が再計算される。

教訓は、全体の下限とデイリーの下限は同時かつ独立に判定され、含み損が双方に効くということです。

数値例:Topstep と Apex ルール下の先物口座

次に50Kの先物口座を、各社の公式の仕組みで見ます。

Topstep(追従式・EOD調整・開始残高でロック):

  • Maximum Loss Limit は4万8,000ドルから開始(5万ドルの開始残高の2,000ドル下)。
  • 500ドルの利益で5万500ドルで引けると、MLL は4万8,500ドルへ切り上がり、その後残高が5万ドルに戻っても4万8,500ドルのまま。
  • 別建ての日中デイリーロス1,000ドルは 5:00 PM CT にリセットし、含み損益がリアルタイムで算入される。

Apex(日中トレーリング・含み益の高値に追従・その後ロック):

  • しきい値はピークの2,500ドル下。含み益で残高が5万2,500ドルに伸びると、しきい値は即座に5万ドルへ切り上がる——含み益の高値で。
  • ピーク残高が「開始残高+最大ドローダウン+100ドル」に達するとしきい値はロックして固定。触れる・割ると全ポジション自動清算。

並べると、Topstep のドローダウンは引けでのみ切り上がるのに対し、Apex は日中の新高値ごとに切り上がります。同じトレードでも、業者により残る余力が大きく変わります。詳しくはApex vs MyFundedFuturesを参照してください。

抵触はどう発動するか — 自動清算・失格・リセット時刻

惜しい一手が口座破綻になるかを決めるのは、次の3つの執行ディテールです。

  • リアルタイム監視か引けのみか。EOD調整型でも通常は日中リアルタイムで監視され、引けは「次に下限がどこに来るか」を変えるだけで、セッション中に抵触し得る点は変わりません。
  • 自動清算かソフトな失格か。Apex はしきい値に触れた瞬間に全ポジションを自動清算します。他社は強制決済せず口座を失格扱いにする場合もあります。建玉サイズを決める前に、どちらかを把握してください。
  • リセット時刻。デイリー上限は業者ごとの時刻でリセットします(FTMO は 00:00 CE(S)T、Topstep は 5:00 PM CT、MyFundedFutures の EOD 調整は 5:00 PM EST)。リセットをまたいで保有すると、新しい日の上限に移ります。

資金口座を失う典型的なミス

5社のルールページを通じて、同じ失敗パターンが繰り返し現れます。

  • EOD トレーリングを「引けでしか判定されない」と誤解する。実際は日中もリアルタイムで執行され、調整だけが引けを待つ。
  • 含み益がエクイティ/日中ベースの下限を押し上げることを忘れる。確定していない含み益を吐き出すと、残高が黒字に見えても抵触し得る。
  • リセットをまたいでポジションを保有し、昨日の余力で建てたトレードに新しいより低い日上限が適用される。
  • 残高ベースとエクイティベースの判定を混同し、回復中の含み損を安全と思い込む。
  • 他社の数値を見て自分の口座も同じだと仮定する。すべての数字は自分の業者の最新ページで確認する。

早見表:業者別ドローダウン規則

業者デイリーロス最大ドローダウンの型判定基準注目すべき仕組み
FTMO(2-Step)初期資金の5%、00:00 CE(S)T リセット静的10%エクイティ含み損が算入、1-Step は日次3%
The5%ers(High Stakes)5%、開始エクイティ/残高の高い方に対して静的・絶対10%残高下限は切り上がらない、MT5サーバー時刻
Topstep1,000 / 2,000 / 3,000(50K/100K/150K)、5:00 PM CT リセット追従式・EOD調整確定+含みを監視開始残高でロック
Apex別建てなし日中トレーリング含み益の高値自動清算、開始+DD+100でロック
MyFundedFutures別建てなし(2026プラン)3% EOD トレーリング(Core/Pro)5:00 PM EST 引けの確定益日中はリアルタイム執行

数値は執筆時点の各社公式ルールページに基づきます。トレード前に最新値を確認してください。これらの規則を支払いや運営実績とどう天秤にかけるかは評価基準2026ランキングを参照してください。

まとめ

デイリーロスと最大ドローダウンは、同じ規則のサイズ違いではありません。守る期間が違い、トレーダーが落ちる理由も違います。1枚でも建てる前に、業者自身のページで4つの問いに答えてください。残高かエクイティか、静的か追従式か、日中か日終わりか、そしてドローダウンはどこでロックするか。この4つを押さえれば、多くの「想定外」の抵触は想定外でなくなります。

このページは各社の規則改定に合わせて更新します。引用される場合は、出典として本ページ(PROP NAVI)へのリンクをお願いします。本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。

ルールを明確に公開しているおすすめ業者

以下の業者は、ドローダウンの仕組みを詳細に公開しています。これは本稿が評価する透明性そのものです(評価基準)。

FTMO — 明文化されたエクイティベースの上限

FTMO Academy は、含み損益の算入方法を含め、デイリーロスと最大損失を数値例つきで明示しています。

FTMO 公式で見る

The5%ers — 静的・残高ベースのモデル

The5%ers の High Stakes は切り上がらない絶対10%の最大損失を採用し、固定で予測可能な下限を好むトレーダーに向きます。

The5%ers 公式で見る

Fintokei — 評価試験トレーダー向けに目標値を公開

Fintokei は評価構造を比較するトレーダー向けに、損失上限を目標ページで公開しています。

Fintokei 公式で見る

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